看護基準の意味と看護師転職との関係

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看護師転職サイトで求人探しをする前に知っておきたい看護基準の話

看護師が知ってるようでよく知らない看護基準と転職との関係

看護師の方はまずご存知であるはずの「看護基準」。

転職サイトで看護師求人を探すときにも、これを参考に病院選びをしている方もいるのではないでしょうか。

ですが、この看護基準は、色々と紛らわしい用語や適用のされ方があったり、近年の厚生労働省の取り組みで評価基準が厳しくなったりしています。

今回はあらためて、看護師ならバッチリ把握しておきたい看護基準についておさらいしてみましょう。ここをしっかりおさえておけば、転職サイトもより活用できるようになるはずです。

人員配置標準と看護基準の違い

看護基準について見ていく前に、まず理解しておかなければいけないのが「人員配置標準」についてです。

看護基準と混同してしまいがちかもしれませんが、両者は様々な意味で性質が異なっています。

法で定められている人員配置標準

これは、厚生労働省が医療法で定めているもので、医療施設・病床区別ごとに医師や看護師、薬剤師などの人数を示しています。

「標準」と言いつつも、ここでの数字に満たない場合には医療法に違反することになり、改善指導がされるため、実質的には基準のようなものとなっているのです。

一般病院での看護師の人員配置標準は、

  • 一般病床 3:1
  • 療養病床 4:1


となっています。

実際の看護体制に基づいた看護基準

看護師の人員配置標準を見て違和感を感じた方も多いのではないでしょうか。

「看護基準は10:1とか7:1とか言われているのに、それよりもっと看護師が多いことになってない?」

確かに、本当に3:1の体制だったら、ナースステーションはごった返してしまうことでしょう。

実はこの人員配置標準は、入院患者数に対する看護師の「雇用」人数とされています。ですから、当然実際に病院で看護にあたっている人数はこれより少なくなります。

こちらの数字、常に働いている看護師の数に基づいて評価されるのが「看護基準」です。

医師についてはともかく、国内の病院はほぼ100%看護師の人員配置標準を満たすことができています。なので、よけいに看護基準が注目されるんですね。転職においても、看護師の方が人員配置標準を心配する必要はありません。

看護基準で変わる診療報酬

看護基準が病院側に、また看護師のみなさんに重視される理由は、やはり診療報酬に関わってくるからでしょう。

いくら医は仁術とは言え、病院経営だけでなく、そこで働く医師・看護師にとっても大きなポイントになるはずです。

7:1か10:1かでかなり差が出る診療報酬

看護基準によって、入院患者一人一日あたりの診療報酬は大きく異なってきます。

加算部分を考えず、一日ごとの入院基本料で見てみましょう。

  • 7:1の場合 1591点
  • 10:1の場合 1332点
  • 13:1の場合 1121点
  • 15:1の場合 960点

(2016年現在)

7:1と10:1では、その差259点です。病床あたり約2600円違ってくるわけですから、100床以上の総合病院なら1年で数億円単位の違いになってきます。

7:1看護基準確保に躍起になる病院

そんなわけで、とくに大規模な病院ほど、この7:1の看護基準を満たそうと必死になっています。

看護師転職サイトがたくさん現れてきたのにも、需要の増加が背景にあるんですね。

転職先を探す看護師のみなさんにとっては、売り手市場になっているのでとても有利なのです。転職サイトを最大限に活用することで、自分の理想の職場を探せるうえに、充実したサポートまで無料で受けることができるのですから、このチャンスを逃す手はありません。

看護基準評価方法の改定と看護師転職への影響

しかし、近年この看護基準が厚生労働省により見直されました。評価するための基準がより厳格になったのです。

理由はやはり、7:1の病院が増えすぎたことにあります。行政が想定していた7:1体制の病床数の10倍近くもの病床が存在しており、医療費が膨れ上がってしまっているんです。

そもそも7:1の看護基準は、重症度の高い患者が多い病床により多くの看護師を割いてよりよいケアをするために設けられたものなのですから、どこもかしこも7:1になることがおかしいと言えます。

看護師の転職事情にも影響が?

看護基準評価の厳格化は、看護師のみなさんにも少なからず影響してきます。

まず、自分が今働いている病院が7:1体制だったとしたら、場合によっては今後10:1体制に移行する可能性があります。

一人あたりに対応する病床数が増えるだけでなく、そもそもの看護師の人数を削減することにもなるでしょう。

もしちょっとでも不穏な気配がただよっているならば、あらかじめ転職先を探しておくと万全です。

また、転職サイトで病院を探すときにも、7:1だからといってすぐに良さそうだと判断してしまうのではなく、実際に適切に機能しているのかをチェックすることが必要になってくるでしょう。

転職していざ働きはじめる、といったときに体制が変わってしまってはたまりません。

転職サイトでは看護基準以外の情報も仕入れましょう

看護師転職サイトは、看護基準のように外部に向けて公表されている情報だけでなく、実際の職場の状況や看護師の生の声をたくさん収集しています。

頼もしいエージェントのいる転職サイトを利用して、看護基準はもちろんのこと、それだけでは分からない裏の裏までバッチリ調べるのが、看護師の転職で失敗しない秘訣です!

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